2024年6月19日
2020年9月18日
近年、マーケティングのあり方が変わりつつあります。
インターネットやSNSの発達により、誰もが情報を発信しつながれる時代になったのです。
あなたもYoutubeやブログ、Twitterなどを利用したことがあるでしょう。
今回はソーシャル時代の経営戦略として、自営業者やスモールビジネス経営者に有効なソーシャルエコノミーについて解説します。
ソーシャルエコノミーとは
ソーシャルエコノミーとはどのような意味なのでしょうか。
ソーシャルエコノミーを定義した代表的な書籍として「ソーシャルエコノミー~和をしかける経済」があります。
一橋大学の教授と電通の専門家がまとめたものです。
この本では、ソーシャルエコノミーを「コミュニティを育てることを通じて思いがけない規模の経済効果を得ること」と定義しています。
SNSの発達により、「シェアする」という文化が誕生した現代では共感や共有で人々がつながり合うことがとても重要です。
あなたもYoutubeやTwitterでフォロワーを多く集めた人が成功している姿を目にしたことがあるかもしれません。
現代では商品やサービスなどのファンをいかに集め、いかにファンをコミュニティ化することが重要な経営戦略のひとつなのです。
シェアリングエコノミーとの違い
ソーシャルエコノミーとよく混同される概念として、シェアリングエコノミーやマッチングビジネスがあります。
それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
シェアリングエコノミーとは?
シェアリングエコノミーとは、主に個人が持つ使わない資産を仲介するサービスを意味します。
例えば民泊大手のAirBnBは、個人が所有する部屋を貸し借りできるサービスです。
またUberは、タクシーや配達する人など移動を共有するサービスを提供しています。
つまりシェアリングエコノミーは、遊休資産を共有することを仲介するサービスやそれらのサービスから生まれる経済圏を意味するのです。
コミュニティを育てるソーシャルエコノミーとは全く異なる概念ですね。
マッチングビジネスとの違いは?
同様に混同されやすいのがマッチングビジネスです。
マッチングビジネスは、ニーズがある人や企業とニーズに対する解決策を提供する人や企業を仲介するビジネスを意味します。
シェアリングエコノミーも、サービスに売り手と買い手をマッチングしている場合はマッチングビジネスの一種と捉えることもできるでしょう。
しかし、単にマッチングビジネスと呼ぶ場合は、市場のように単純に売り手と買い手を仲介して手数料をもらうビジネスを指します。
基本的には、一回限りの取引が連続して行われ、コミュニティの創出や発展につながるものではありません。そのため、マッチングビジネスもソーシャルエコノミーとは異なる概念です。
コミュニティづくりの方法
ソーシャルエコノミーは、あなたやあなたの会社、あるいは商品やサービスのファンを集めてコミュニティ化するビジネスです。
例えば韓流ファンがコミュニティ化し、互いに情報交換しあう姿をテレビで見かけたことはないでしょうか。
ファンを育て、コミュニティ化することであなたの商品やサービスは継続的かつ安定的に売れることになるのです。
では、コミュニティをつくるにはどうすればよいのでしょうか。
書籍「ソーシャルエコノミー~和をしかける経済~」で示されている方法論を抜粋してご紹介します。
「共益」のネタを放つ
野菜ジュース大手のカゴメでは、カゴメファンが互いに交流できるコミュニティを運営しています。
特に互いの野菜の自家栽培を共有する取り組みが人気です。
単にカゴメが好きというだけではなく、野菜を育てることが好きなファンを取り入れることに成功しています。
ファンにとっては、お互いに野菜を育てることを共有することで栽培について互いに情報交換できるだけでなく、栽培へのモチベーションも高まるのです。
このように、ファン同士が互いにメリットのある「共益」をつくることがコミュニティづくりの第一歩です。
「同好コミュニティ」のための「宴」を催しつづける
コミュニティがコミュニティになるためには、そのコミュニティに参加することが「面白い」と思われることが重要です。
現実世界でも、何か盛り上がっている様子をみるとそこに興味をそそられて参加したくなることがあるのではないでしょうか。
コミュニティの維持には、盛り上がる「宴」が不可欠です。
宴とは、コミュニティが盛り上がり続けるためのネタです。
例えばTwitterでは、一時的に特定のネタがリツイートされて盛り上がることがよくあるでしょう。
Twitterではこうしたネタが生まれて互いに盛り上がる仕組みをあえて取り込むことで、Twitterのアクティブユーザーを増やしているのです。
このような盛り上がる仕組みを取り入れることがコミュニティ維持の基本になります。
「祭りのハタ」を掲げ「同好リーグ化」を導く
AKB48は、ファンコミュニティを強化するために「総選挙」を行っています。
ファンは自分の推しメンのために、何枚もCDを購入して付録の握手券を入手します。
このように、定期的に大規模なイベントを催すことで、コミュニティをさらに推しメンごとのファンコミュニティへ分けることを推進しているのです。
この取り組みを書籍「ソーシャルエコノミー~和をしかける経済~」では、「祭りのハタ」を掲げるとしています。
例えばあなたのサービスでも、年に数回、ファンが熱くなれるイベントを開催することでコミュニティをさらに強固なものにすることができるのです。
「裾野ソサイエティ」を広めソーシャルエコノミー化を促進する
前例のAKB48では、「総選挙」を開催し続けることで推しメンコミュニティをつくり、その盛り上がりがさらに新たなファンを呼ぶという循環を生み出しています。
別の例では、CRM大手のセールスフォースが年に数度「ドリームフォース」と呼ばれる大規模なファンイベントを開催することで、ファンだけではなくファン以外の新たな顧客の取り込みを行っています。
ファン向けの特別なイベントを催し続けることで、ファンがファンを呼ぶことを実現できるのです。
事業への活用事例
では実際の事業にはどのようにソーシャルエコノミーの考え方を活用すればよいのでしょうか。
オンラインサロンを活用する
最近では誰もが気軽にオンラインサロンを立ち上げることができるようになりました。
オンラインサロンは、特定の人物やサービス、商品のファンコミュニティを簡単につくることができます。
一方でファンづくりに成功していないコミュニティは、ファンが盛り上がるネタが少なかったり、特別なイベントがなかったりします。
ぜひ今回ご紹介した手順をもとにオンラインサロンを運営してみてはどうでしょうか。
BtoBにも有効
こうしたソーシャルエコノミーは、BtoBにも有効です。
セールスフォースはBtoBサービスが中心でありながら、ファンの形成に成功しています。
また中小企業や自営業者でも、ファンイベントを運営することで、コミュニティ化に成功している事業者もあります。
ある研修会社では年に1度、お客様を招待して演奏会を楽しみながらユーザー同士のつながりをつくるイベントを開催しています。
BtoBは、BtoCよりも長期的な取引であるためファンの形成やファンイベントの開催が不可欠です。
ファンを形成することができれば、あなたの事業は安定的になるでしょう。
まとめ
ソーシャルメディアが発達する現代では、フォロワーやファンを増やす取り組みはとても重要です。
今回の新型コロナウィルスの影響でも、ファンを大切にしていた飲食店は早く立ち直ることができています。
今回ご紹介したソーシャルエコノミーの考え方を重要な経営戦略として取り組んでみてはいかがでしょうか。
参考:阿久津聡, 谷内宏行.ソーシャルエコノミー~和をしかける経済. 翔泳社.2012