2024年6月19日
2020年10月19日
新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの普及は、デジタル時代の本格的到来を感じさせます。
実際に大企業ではデジタルトランスフォーメーションに取り組む企業も増えてきました。 デジタトランスフォーメーションは私たちスモールビジネスには関係のないことなのでしょうか。
実は、スモールビジネスこそデジタルトランスフォーメーションに取り組むべきだと言えます。
そこで今回は、デジタルトランスフォーメーションの具体的な取り組み方法について解説します。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
デジタルトランスフォーメーションは、単なるデジタル化だと考えていませんか?
デジタルトランスフォーメーションは、デジタル化とは全く異なる概念です。
まずはデジタトランスフォーメーション(DX)の意味を理解しましょう
デジタルトランスフォーメーションとは?
一般的には、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」であると定義されます。
総務省の令和元年度版「情報通信白書」によれば、デジタルトランスフォーメーションは「産業のビジネスモデルを変革していくもの」と定義されています。
これまでのデジタル化が単なるデジタルの活用だったことに対し、デジタルトランスフォーメーションはテクノロジーの活用にとどまらず産業構造をも変化させる取り組みなのです。
デジタルトランスフォーメーションはなぜDX?
デジタルトランスフォーメーションは、「DX」と略されます。
英語ではDigital Tranceformationなのに、なぜ頭文字をとった「DT」ではなく「DX」なのでしょうか。
実は英語の「X」には英語のTrance:交差する、変化させるという意味があります。
「DT」という略語は、何のことを指しているかわかりづらいため、デジタトランスフォーメーションだということがわかりやすいように「DX」という略語になりました。
DXはスモールビジネス経営者こそ取り組むべき課題
実はデジタルトランスフォーメーションは、スモールビジネスの経営者こそ取り組むべき課題と言えます。
デジタルトランスフォーメーションは既存ビジネスの破壊
先ほどご説明したように、デジタルトランスフォーメーションは単なるデジタル化ではなく、テクノロジーにより既存の産業構造を変えることです。
しかし、テクノロジーは持っていなくても大丈夫です。
最近ではAIやRPAなどのデジタルテクノロジーを以前より安価に活用できるようになってきました。
また高度なテクノロジーではなくても、WEBやクラウド技術はかなり一般的になっています。
こうした身近に使える技術を活用して、既存産業の課題を解決すればいいのです。
デジタルディスタラプションの例
デジタルによって既存産業の構造を変えることをデジタルディスタラプションと言います。
代表的な例としてカーシェアリングがあげられます。
デジタルが存在していなかった時代は、車を利用する手段は購入かレンタカーだけでした。
しかし、ITが発達したことにより、自動決済で簡単に車を借りられるようになりました。
カーシェアリングの普及は、車を購入するという消費の在り方を「車をシェアする」というスタイルに変革しています。
また、こうしたシェアリングビジネスは在庫情報と決済システムがあれば簡単に参入できるため、車だけでなく、様々な分野でスモールビジネスからスタートした企業が成功を手にしているのです。
デジタルトランスフォーメーションの成功事例
ここで実際にデジタルトランスフォーメーションにより急成長を遂げたビジネスの事例を見てみましょう。
保険ビジネス:Lemonede
2020年にIPOを果たしたアメリカの保険ベンチャー、Lemonede(レモネード)はいま注目の企業です。
Lemonedeは、完全に成熟産業だった家財保険のビジネスに参入し、家財保険の加入者を大幅に増やすことに成功しました。
従来の家財保険では、保険が満期を迎えた場合、支払われなかった保険金はすべて保険会社の利益になっており、ユーザーにとって加入のボトルネックになっていました。
そこでLemonedeでは、満期を迎えた場合はNPOなどの慈善団体に掛金が寄付される仕組みをつくりました。
さらにLemonedeでは、チャットボットにより加入手続きの敷居を大幅に下げたほか、保険加入者同士がお互いにサポートし合うSNSを構築し、最終的に保険が社会貢献につながるよう意欲を高めています。
印刷ビジネス:ラクスル
ラクスルは、電子化が進むこの時代に成熟した印刷産業に再び息を吹込みました。
ラクスルの特徴は、稼働していない印刷工場の空き時間を活用することで非常に安価な印刷ができることです。
日本全国にある提携印刷工場をシェアするのです。
さらにラクスルは、印刷だけではなくチラシや名刺のデザインも手がけることで印刷の上流から下流までに対応。
こうしたビジネスモデルを実現できたのも、ラクスルがお客様からの申し込みから印刷、配達までをオンラインで対応することにより、人件費を大幅に削減できたからです。
スモールビジネスにおけるDXの取り組み方
スモールビジネスでも、アイディアがあればデジタルトランスフォーメーションに取り組むことができます。
では、どのように取り組めばよいのかを説明します。
市場規模が大きく非効率な産業を見つける
従来のアナログ対応では解決できていなかったことや、人手が多く発生していて非効率だったことにヒントが見つかるでしょう。
ただし、単に非効率な産業を見つけるだけでは事業成長につながりません。
なるべく市場規模の大きさも十分に検討してから取り組みましょう。
非効率の課題にデジタルを活用して解決する
非効率な産業を見つけたら、その課題に対してデジタルで解決できないかを考えてみましょう。
例えば先ほどのラクスルの例のように、オンライン化を進めることで人件費を削減することができます。
あるいは、これまでデータ化や見える化ができていなかった産業に対して、データ収集や分析の仕組みを取り入れることで効率化できるかもしれません
自社の強みをシャープにする
参入する産業が決まり、非効率な課題を解決する方法が決まったら、次は自社の強みをより強化していきます。
デジタルで非効率を解決することができた、ということは参入障壁が低い産業である可能性もあります。
万が一、他のライバルが参入してきた場合でも「自社はこれなら日本一だ」と言える強みを持てるようにしましょう。
まとめ
デジタルトランスフォーメーション時代である現代。
ビジネス環境は目まぐるしく変わっていきます。
しかし、デジタルトランスフォーメーションはスモールビジネスの経営者にとってチャンスでもあります。
だれもがインターネットやデジタル端末を使えるようになった今、大企業では解決できなかったことを少しのアイディアで小規模企業が解決することができるようになっています。
デジタルトランスフォーメーションは他人事、と考えず、まさにいまチャンスが到来していると考えて積極的に新たなビジネスを構築していきましょう。