ライフタイムバリュー(LTV)とは?顧客価値向上に必須の概念を分かりやすく解説

2024年4月8日

2021年4月23日

ライフタイムバリュー(LTV)とは?顧客価値向上に必須の概念を分かりやすく解説

なるべく効率よく収益をあげたい。

経営者であれば、誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

特にスモールビジネスの経営者であれば、新規顧客の獲得に追われ、気づけば顧客獲得コストが赤字になっていることはよくあることです。

できれば1顧客あたりの単価を上げ、末永くサービスや製品を使ってほしいですよね。

そこで今回は1顧客から効率よく収益を上げるための考え方として、ライフタイムバリューについてご紹介します。

ライフタイムバリュー(Life Time Value:LTV)とは?

経営者であればライフタイムバリュー(Life Time Value)という言葉について一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

ライフタイムバリューとは日本語で生涯顧客価値と呼ばれ、企業が1顧客に対して取引開始から終了までどれだけの利益を得られたかを意味します。

また、顧客視点から考えてみると、一つの企業や製品・サービスからどれだけの価値を得られたかを示す概念です。

例えばもしあなたが美容室を経営していたとします。

その場合、一人のお客様があなたの美容室を利用しなくなるまで通い続けた売上がライフタイムバリューになります。

その売上の中にはカット料金だけではなく、パーマなどのオプション料金、ヘアワックスやトリートメントなどお客様が購入されたサロン商品の売上も含まれます。

つまり一人のお客様がなるべく長い期間、多くの商品・サービスを購入してくれるほどライフタイムバリューは上がっていくのです。

ライフタイムバリューはどのように計算する?

ライフタイムバリュー(LTV)はきちんとした計算式で計算できます。

代表的な計算式をご紹介します。

 

LTV=顧客単価×購入回数

物販型のビジネスや美容室、整体院などの来店型ビジネスにおけるではこの計算式を使用するとよいでしょう。

LTVを上げるためには、顧客単価を上げ、購入する回数を増やすことです。

例えば回数券は購入する回数を増やす工夫の一つと言えます。

 

②LTV=顧客の年間(月間)取引額×収益率×継続年数(月数)

最近のビジネスモデルで主流であるサブスクリプション型ビジネスはこの計算式を適用します。

習い事やジムなどの月謝制ビジネスも当てはまります。

サブスクリプションビジネスはいかに解約を減らし、顧客単価を上げるかが重要です。
同時にコストを下げて顧客あたりの収益率を高める工夫も必要でしょう。

ライフタイムバリューを最大化するには?

購入単価を上げる

購入単価を上げる

まず取り組みやすいのが購入単価を上げることです。

といっても、いきなり値上げをするわけにはいかないでしょう。

そこで多くの経営者が取り入れているのがオプションです。

例えばラーメン店では、トッピングや味のバリエーションによって価格を変えています。

この際に、メインの商品やサービスと比べてオプションが割安に見える工夫が必要です。

オプションを高額にするのではなく、なるべく細かい単位で低価格のオプションを取り揃えることで、顧客に抵抗感なく単価UPを受け入れてもらえます。

契約期間を長くする

なるべく長期間、自社の商品やサービスを利用してもらうこともライフタイムバリューを向上させます。

来店型のビジネスでも、回数券や長期プランを用意することで顧客と長期的な関係を構築できます。

また、教室型のビジネスでもあらかじめ1年単位や2年単位の契約を結ぶことができれば、顧客に通い続けてもらうことができるでしょう。

解約を防止する

ある程度軌道にのっているビジネスであれば、最も効果的な施策が解約を防止することです。

特にレッスンを提供する教室型ビジネスなら、新たな顧客を獲得するコストよりも解約を防止するコストのほうが圧倒的に割安になるでしょう。

解約を防止するには、既存顧客に定期的にヒアリングをしながら顧客満足度の確認をするのがおすすめです。

顧客獲得の費用を下げる

どんなに高単価な商品やサービスを提供していても、顧客獲得コストが高い限りは収益が生まれません。

顧客獲得コストを下げるために、最も有効なのが紹介制度です。

また長くビジネスされている方であれば、休眠顧客の発掘も有効です。

あなたの商品やサービスを全く知らない新規顧客より、一度利用したことがある休眠顧客の方が、もう一度購入してくれる可能性が高いはずです。

維持費を下げる

特に教室型ビジネスであれば、教室の設備費用や質の高い講師への謝礼金など、定期的に発生するコストがあります。

また、サロン型ビジネスでも、ホームページやクーポンサイトの利用コストが発生しているのではないでしょうか。

こうした顧客維持費を下げることは、ライフタイムバリュー向上に重要な取り組みです。

ライフタイムバリューをUPさせるための戦略

ここまで、ライフタイムバリューを最大化する考え方をご紹介しました。

しかし現実的には、なかなかライフタイムバリューUPの施策が思い浮かばないという方もいらっしゃるかもしれません。

そこで最後に、ライフタイムバリューをUPさせる具体的な戦略をご紹介します。

リピート率を上げる

いかに顧客に「また利用したい」と思わせるかが勝負です。

飲食店などの来店型ビジネスにおすすめなのが、「お得意様」専用メニューです。

ある人気鉄板焼店では、お得意様にしか出さない「裏メニュー」があります。

また、ポイントカードもかつては有効な施策でした。

しかし、ポイント利用が一般的になってきた現代社会では、ポイントよりも「裏メニュー」提供などあなたのビジネスならではの施策をとる方が有効です。

整体院や美容室などサロン型ビジネスであれば、お得意様専用の個室や椅子を用意するといったことでも構いません。

顧客があなたの「お得意様になりたい」と思える仕掛けを考えましょう。

関連商品を販売する

顧客単価を上げるには、先ほどもラーメン店の例でご紹介したように、顧客にオプションを追加していただく方法があります。

しかしそれだけでなく、関連商品を販売するのも有効な手段です。

例えば美容室であれば、ヘアワックスやトリートメントなど、お客様がお気に入りの髪型を維持するために必要な商品を販売する方法が考えられます。

整体院なら、自宅でできるストレッチグッズや入浴剤を販売してもよいでしょう。

ジムであればサプリメントを販売しています。

アフターフォローを徹底的に行う

ライフタイムバリュー向上にはアフターフォローも有効な手段です。

一度来店した顧客に対して、積極的にフォローを行っていくのです。

多くの整体院や美容室ではアフターフォローを行っていません。

そのため一度来店した顧客が、他の美容室に流れてしまうことがあるのではないでしょうか。
例えば来店から1か月後を目安に顧客に電話をする、あるいはあらかじめ公式LINEを開設しておいて、LINEで定期的に情報発信するといった方法がおすすめです。

心理学的では単純接触効果といって、目にする頻度が多ければ多いほど、顧客は目にする対象に対して親近感が湧くことが知られています。

アフターフォローを徹底的に行うことで、リピート率を高めることができるだけではなく、次回来店時の顧客単価もUPできる可能性が高まるでしょう。

まとめ

今回、ライフタイムバリューという考え方を、初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。

しかしよく考えてみれば、ライフタイムバリューはビジネスを続ける上でとても重要で、基本的な考え方であることがわかります。

顧客が継続的にあなたのビジネスを高単価で利用すれば、あなたのビジネスは存続しつづけます。

しかし、単に1顧客からどれだけ利益をあげられるかを考えるのでは意味がありません。

1人のお客様に生涯を通じてどれだけ満足いただけるのか、真剣に向き合うことが大切です。