2024年3月28日
2021年1月20日
緊急事態宣言が再び出される中、スモールビジネスを経営する方々は今後の事業展開に頭を抱えていらっしゃるではないでしょうか。
大企業ではテレワークが進む中、スモールビジネスの経営者にとっては様々な理由からオンライン化ができないケースが多く存在しています。
そもそも飲食業や美容室、整体など業態的にオンラインでの対応が難しい方もいらっしゃるでしょう。
そんな場合どうすればよいのでしょうか。そこで今回はスモールビジネスにおけるオンライン化について解説します。
オンライン化とは?ただオンライン対応するだけじゃない!
全く先行きが見えない状況の中、事業をオンライン対応するのはどの事業者にとっても今後の生き残りに必要不可欠な取り組みです。
スモールビジネスにおけるオンライン化とは、どのようなものなのでしょうか。
オンライン化はビジネスモデルの転換
スモールビジネスの経営者がオンライン化でつまずくポイントがあります。
それは、ただ既存の事業をオンライン上で転換するという考え方です。
実はこの方法で成功するのは、対面でもオンラインでも提供価値が変わらないビジネスだけです。
単純なオンライン化は、コンサルティング、コーチング、占いなど、オンラインでも提供価値が変わらず伝え方が変わるだけのビジネスであれば非常に有効な手段でしょう。
しかし、飲食業や各種サロンでオンライン化を行う場合は業態転換を意味します。
経営者であればご存知の通り、業態転換を行うと顧客も顧客への価値提供方法も収益モデルも大きく変わるのです。
そのため、単にZoomなどのオンラインツールを導入することを優先するのではなく、オンライン化は多くの場合ビジネスモデルの転換を意味することを頭に入れておきましょう。
スモールビジネス事業者のオンライン化事例
新型コロナウィルスの影響が始まってから約1年。
オンライン化に成功した事業者とそうではない事業者の明暗が分かれてきています。
オンライン化に成功した具体的な事例をご紹介します。
飲食業
都内でダイニングバーを営んでいたAさんは、2020年5月に緊急事態宣言が出された後、客足が全く途絶える事態に陥りました。
食材を仕入れても余ってしまう日々。
仕入れ先である農家の方々も野菜が売れず頭を抱えている状況でした。
そこでAさんは料理の腕を活かして、冷凍保存ができる野菜を使ったビジュアルも綺麗なピザを考案しました。
そしてInstagramとTwitterに掲載したところ、多くの注文が殺到したそうです。
それからAさんは冷凍ピザのオンライン販売をはじめ、現在ではオンライン販売とデリバリー専門店として業態転換に成功しています。
美容室
ある美容室では、新型コロナウィルスの影響によりソーシャルディスタンスを保つため1日の顧客数を半分に減らす必要がありました。
売上が半分になる、とても厳しい状況です。
そこで経営者のBさんは客単価を上げられる方法を検討しました。
その結果、「テレワーク疲れを癒すヘッドスパ」のアイディアが浮かんだそうです。
早速Bさんは、ヘッドスパの技術を習得。
ホームページとSNS、クーポンサイトで「テレワーク疲れを癒すヘッドスパ」というマーケティングを行いました。
その結果、顧客数は半分に減った状態でも、客単価は2倍になりました。
もちろん、ヘアスタイリングも続けながら、現在ではヘッドスパの専門店の2号店を出すことも考えています。
マッサージサロン
優れた整体技術を持つCさんは、新型コロナウィルスの影響により一時的に店を閉める状況にまで追い込まれました。
お店を維持するために自宅の部屋も解約し、実家に寝泊りすることになりました。
ほとんど失業状態にある中、Cさんは今後の事業について悶々と考えていたそうです。
ある日Cさんは、テレワークで自宅生活が続く友人に、運動不足にならないための体の動かし方とストレッチの方法を教えました。
すると、友人の方に大いに喜ばれたそうです。
そこでCさんはYouTubeとブログでストレッチ講座を始めることにしました。
現在ではCさんのストレッチ講座の動画は多くの方に視聴され、結果的にCさんはコロナ禍でも新しい顧客を増やすことに成功しました。
ここまでご紹介したどの事業者も自分たちの強みを活かした「発想の転換」によって業態転換に成功しました。
あなたも自社の強みを改めて見つめなおし、強みを活かした新事業にチャレンジしてはどうでしょうか。
オンライン化に使えるツール
オンライン化を進めるにしても、どうすればいいのかわからない。
そんな方も多いのではないでしょうか。
そこで、すぐに使える便利なツールをご紹介します。
STORES(ストアーズ)
ストアーズは、非常に簡単にオンラインショップを作成できるサービスです。
しかも基本的なサービスであれば無料で使用できます。
オンラインビジネスの最も重要なポイントは決済です。
決済をなるべく早く確実にできるようにすることで、購買率が高くなります。
また、オンラインショップで事前決済を行う仕組みを確立すれば、お客様の来店率や商品・サービスへのモチベーションも高くなります。
あなたがどんな業態を営業していても、まずはオンラインショップ作成とオンライン決済にチャレンジするのがおすすめです。
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントはこれまで「LINE@」として展開されていたサービスです。
LINE公式アカウントの便利な点は、日本で最もアクティブユーザーが多いLINEで集客ができることです。
LINE公式アカウントであれば、登録者と直接LINEのやり取りができます。
小規模事業者はダイレクトセールスが基本です。
ホームページにアクセスされたお客様や、来店されたお客様にLINE公式アカウントに登録いただくことで、個別にアフターフォローが可能です。
定期的に情報発信をすれば、リピート率も高くなります。
もしまだ開設されていないようでしたら、無料で作成可能なLINE公式アカウントの作成をおすすめします。
30代以上をターゲットにするビジネスであれば、Facebook での集客がおすすめです。
Facebook のアクティブユーザーは40代から50代が多いことで知られています。
また、30代のビジネスパーソンが情報交換の場やイベント開催の場として使うことも多く、購買意欲の高い層へアクセスが可能です。
実際に少し価格が高い飲食店ではFacebookだけの集客で連日満席になるほどです。
公式のFacebook ページを作成して自分のビジネスの情報を積極的に発信すれば、多くの見込み客を獲得できるでしょう。
スモールビジネス事業者のオンライン化での注意点
最近では簡単にオンライン化できるツールを使える一方で、オンライン化には注意すべき点もあるのが事実です。
スモールビジネス事業者にとって、具体的にどのような点に注意すればよいのでしょうか 。
セキュリティ対策を必ず
スモールビジネス事業者で最も忘れがちなのがセキュリティ対策です。
近年では思わぬうっかりミスで個人情報の流出やパスワードの漏洩などで、事業停止に追い込まれるケースが後を絶ちません。
また個人情報を取得する際は、個人情報の取得目的を明確に示す必要もあります。
オンライン化は便利な一方で、常に情報漏洩のリスクがあることを忘れないようにしましょう。
具体的なセキュリティ対策としては、スマホにもセキュリティソフトを入れる、パスワードは定期的に変更する、業務用と個人用のスマホを分けるといったことが考えられます。
情報処理推進機構の「中小企業の情報セキュリティガイドライン」を参考にセキュリティ対策を行いましょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響下でも強く生き残る事業者がいます。
普段からお客様の評判がよく、常連のお客様がいるお店はこのコロナ禍の中でも繫盛しているのです。
一方でオンライン化を進めたものの、すぐに閉店に追い込まれてしまった店舗もあります。
両者の大きな違いは「お客様のニーズを真剣に考えているか」です。
閉店に追い込まれたある飲食店では、お弁当を販売していました。
しかし周辺の住民はファミリー層が多く、お弁当よりも惣菜を求めていました。
オンライン化を進めると、ターゲットとなる顧客を変更することを余儀なくされます。
視野を広げて世の中の状況に敏感になりながら、いまお客様は何を求めているのか、そしてそのニーズに対して自分自身は何を提供できるのかを考えながらオンライン化を進めましょう。