2024年3月28日
2020年12月22日
海外ではグローバル企業がかなり前から積極的にSDGsに取り組んでいましたが、日本でも近年取り組み始める企業が増えてきました。
SDGsは、経営やブランディングにとっても重要な意味をもっています。
今回は企業がSDGsに取り組む背景と、スモールビジネスでの取り組み方についてご紹介します。
SDGsの意味
SDGsについてはご存じの方も多いと思うので、簡単に概要だけお伝えします。
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。
2015年9月に国連が2030年までに世界で達成するべき17のゴールと、169のターゲットをまとめたものです。
地球上の「誰一人取り残さない」ことをコンセプトに、貧困の撲滅やジェンダー平等、環境保全など今後の地球環境と世界の持続的成長に必要な目標を掲げています。
参考:外務省 「SDGsとは?」https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
CSRやCSVとの違い
企業が社会的責任を果たす活動としてCSR(Corporate Social Responsivility)やCSV(Creating Shared Value)といった取り組みが行われてきました。
CSRとCSVは、企業が独自に社会とともに取り組む活動や、企業が社会に貢献する取り組みが中心でした。
一方でSDGsは各企業の独自活動ではなく、国連が掲げた目標に対して国単位で取り組む活動です。
国単位で取り組む活動に対して、企業も市民として参加する形式になります。
このように、SDGsは世界的なムーブメントである点が、これまでの企業の社会活動と異なる点です。
なぜいまSDGsなのか?
地球環境の変化
地球温暖化の進行や異常気象の発生など、数十年前と比べると地球環境は大きく変化しています。
また、ご存じのようにプラスチックごみが海を汚し、生態系を破壊する現象も起きているほど地球環境は悪化しているのです。
これからも人類が健康で人間らしい生活を地球上で送るためには、地球環境の保全が重要なのは、誰もが理解できるでしょう。
消費者意識の変化
多くの途上国が急成長を遂げ、途上国は先進国に追いつけるほど物質的に豊かになりました。
日本でもかつての高度経済成長期のように、物不足の時代が終わり、モノを大量に消費する時代から体験や共感を重視する意識へと消費者意識が変化しています。
マズローの5段階欲求説で説明されるように、生きるための欲求が満たされた現代では、人々はひとりひとりの自己実現といった高い欲求を満たすことに重きがおかれているのです。
そのため、ダイバーシティに象徴されるように、ひとりひとりが自分らしく生きられる世界づくりとしてSDGsが注目されていると言えるでしょう。
企業がSDGsに注目している理由
ESGマネーの取り込み
まず大前提として、企業にとって資本を安く簡単に手に入れることは最も重要な企業活動の一つと言えるでしょう。
ヒト、モノ、カネといった資本を必要な時にすぐ調達できるようにしておけば経営の安定につながります。
近年は投資家も環境や雇用環境、企業統治の在り方に注目して投資を行っています。
いわゆるESG投資です。
ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つのキーワードの略です。
ESGに取り組む企業は持続的に成長することが期待できるため、投資家は積極的にESGへの取り組みを行う企業へ投資します。
背景にはかつてのエンロン事件やナイキの児童労働事件といった企業の不祥事により投資家が資金を失ってきたという歴史があります。
企業も投資家のESGマネーを取り込むためにSDGsをはじめとするESG経営に取り組んでいるのです。
「共感社会」への対応
SNSが発達した現代では、Facebookの「いいね」に代表されるように「共感」が人々の重要な価値観になっています。
一方、ネガティブな出来事に対して人々の感情が噴出する「炎上」も起きています。 現代社会では、企業は誠実で社会に貢献する活動を行わなければ、あっという間に企業イメージを失ってしまうのです。
SDGsへの取り組みは誰もが賛成する活動であるため、共感を生み出しやすく企業にとって応援してもらえるファンをつくる取り組みでもあります。
スモールビジネスこそSDGsに取り組むべき3つの理由
実はスモールビジネスこそ、SDGsに取り組むべきだと考える理由を3つご紹介します。
オリジナリティを出せる
SDGsは世界的には積極的に取り組まれている活動である一方、日本ではまだまだこれからの取り組みです。
しかしSDGsへの取り組みは徐々に日本でも本格化していきます。
そのため、いまSDGsを活用した商品やサービスを提供できれば、オリジナリティが高いものを生み出せます。
実際に2015年から先を読んでSDGsに取り組んできたある中小企業では、SDGsに関するコンテンツを映像化する取り組みで大きな収益を上げています。
まずはあなたが提供する商品やサービスで、SDGsに取り組めないかを考えてみましょう。
共感されやすい
先ほどもご紹介したように、現代は「共感社会」です。
SDGsに取り組むことで、お客様や見込み顧客、潜在顧客の共感を得られやすいというメリットがあります。
また、ユーザーにとっても、SDGsに関連した製品やサービスを使用することで「自分もSDGs達成に参加している」という実績を得られます。
その結果、あなたの商品やサービスが普及拡大する可能性が高くなるかもしれません。SDGsへの取り組みを通じてSNSでのマーケティングを行えば、多くの顧客を獲得できるでしょう。
コラボレーションの可能性が広がる
最近では大企業や自治体が積極的にSDGsに取り組んでいます。
一方で、どのように取り組めばいいかわからないと考える企業や自治体も少なくありません。
そこで企業、自治体にも提供できるSDGs関連商品を生み出すことができれば、そうした企業・自治体とコラボレーションできる可能性が広がります。
またSDGsが自社だけで取り組みづらい場合は、SDGsをきっかけに他のスモールビジネス事業者ともコラボレーションすることもできるでしょう。
このように、SDGsは誰もが賛成する取り組みであるため、SDGsをキーワードに活動の幅を広げていくことができるでしょう。
最後に
SDGsと聞くと、つい他人事、慈善活動のように考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、そこには大きなビジネスチャンスが広がっているのです。
会社や事業の規模は関係ありません。
乗り遅れないためにも、いま目の前にあるSDGsのチャンスをつかむとともに、本格的なSDGs時代に備えて準備を行っておくのがおすすめです。
一方、SDGsが経営やブランディングに活かせるからと、闇雲に手を出すのも危険です。
「SDGsウォッシュ」で検索すると色々でてきますが、SDGsに取り組んでいるように見えて、実態が伴っていないビジネスをしていることを指し、社会的な信頼を失うだけでは済まされません。
今一度、未来の世界に向けて自分の会社に何ができるのか、経営者として、一人の人間として考えてみませんか?