2025年12月24日
「ゼロクリック検索」という言葉を見聞きしたことはありますか?
もし、聞いたことがなかったとしても、検索した際に要約がページ上部に表示されたことで十分な情報を得られ、検索結果で表示されたサイトを一回もクリックしなかったという経験があるのではないでしょうか。
これが「ゼロクリック検索」と呼ばれているもので、検索結果に表示されたサイトをクリックしなくても、手に入れたい内容がわかる現象です。
Google検索のAI概要生成や、AIモードの登場により人々の検索行動が大きく変化しています。
ゼロクリック検索が増えた結果、アメリカでは自然検索流入が約30%減少したというデータもあります。
つまり、今まで努力してきたSEO対策では効果が得られにくいということです。
何も対策を取らないでいると、ビジネスに大きな影響が生じます。
では、ゼロクリック検索時代に生き残るためには、何をしたらよいのでしょうか。 ゼロクリック検索の仕組みも含め、詳しく紹介します。
ゼロクリック検索とは?背景と現状をわかりやすく解説

「ゼロクリック検索」とは、ユーザーが検索エンジンの検索結果ページ(SERP)に表示されているスニペットやAI要約で満足し、ウェブサイトへのリンクをクリックしない現象を指します。
スニペットやAI要約は他の検索エンジンでも提供されていますが、Googleの検索エンジンが特に力を入れている施策です。
画面が小さいスマートフォンでは、スクロールやクリックを避ける傾向があり、ゼロクリック検索の発生率が非常に高くなっています。
ユーザーとしては、リンク先の情報や複数サイトを比較しなくても、欲しい情報がすぐ手に入れられるため、利便性が向上します。
短時間で答えを得たいというタイムパフォーマンス(タイパ)重視時代に合致し、急速に利用が広がっています。
しかし、自社のサイトで集客やブランド認知を行っているビジネス経営者にとっては大問題です。
アメリカの調査によれば、オーガニック検索1位のCTR(クリック率)が、AIモードの登場により34.5% 低下したという結果も出ています。
今までのSEO対策のように、検索上位になれば大量のアクセスが獲得できるという常識が崩れ始めており、今すぐに対策を考える必要があります。
Google検索のAI化がもたらす変化

多くの利用者がいるGoogle検索のAI化についてみてみましょう。
Googleは、2024年8月頃から日本でAI概要(AI Overviews)の提供を始めました。
ユーザーが検索した内容について、Googleの最新生成AIモデルであるGeminiが質問に対する簡潔で包括的な回答を提供しています。
注意すべきポイントは、検索結果ページ(SERP)の最上部にボックス形式で表示されるという点です。
目に入りやすいうえ、AIの回答が画面最上部を大きく占有するため、従来の検索結果がスクロールしないと見えない位置に押し下げられます。
さらに、AIが結論や手順までも要約して表示するため、ユーザーはサイトにいかなくても、十分に情報を得られる傾向が強まっています。
今後は、ますますAIモード(SGE)が検索体験の中心となるでしょう。
Googleの検索エンジンは、AI要約以外にもゼロクリック検索を推進する仕様になっています。
パソコン利用時は検索結果の横、モバイルでは上部に表示されるナレッジパネルには、Wikipediaなど信頼性の高い情報が引用されます。
レストランや病院など場所に関する検索した際には、Googleマップが優先的に表示され、地図とともに店舗情報が即座に表示されます。
計算結果や単位変換、為替レートは、検索窓に入力すれば答えが表示されます。
この結果、ハウツー系ブログやFAQ系サイト、天気予報やスポーツの試合結果、株価など「短時間で答えが欲しい検索」については、ゼロクリック検索で満足してしまうため、これらの情報を提供しているサイトは、クリック率が急落しています。
Googleの検索エンジンの仕様変更により、検索エンジンの役割が「答えを探す場所」から「答えが出る場所」へ変化しています。
ユーザー行動の変化:なぜ“クリックされなくなった”のか

Google Search Consoleを導入している方なら、「検索回数は増えているのに、クリック数は減っている」という矛盾を既に感じているかもしれません。
以前なら自社に関するキーワードの検索回数が増えれば、検索結果に表示される回数が増え、クリック数も増えるのが一般的でした。
しかし、ゼロクリック検索が増えたことにより検索回数が増えても、ユーザーはAIモードで満足してしまい、自社のサイトを訪れる回数が大幅に減っています。
ユーザーの“即解決志向”は強まる一方のため、AIモードで情報が得られたならば、わざわざスクロールやクリックをして詳しい情報を知ろうとはしません。
また、AIモードは複数のウェブサイト、公式リソース、ニュース記事など、インターネット上の広範囲な情報源から情報を収集・分析し、その要点をまとめて自然な文章として生成しています。
情報が偏っている心配が少ないため、AIモードには安心感や信頼感さえあります。
AIモードが主流の今、サイトを訪問してくれる人はAI要約で満足せず、本気で情報を知りたい人、AIモードではカバーしきれない詳細な情報を知りたい人に限られるでしょう。
つまり、SEO対策は従来のようなキーワード最適化だけでは不十分なのです。
ゼロクリック検索時代に弱いコンテンツ&やってはいけないSEO

これからは、今まで以上に量より情報の質が重要になってきます。
単なる情報の羅列や既存の情報と同じ内容では、AIに要約されるだけで、自社サイトへの訪問はありません。
具体的には、下記のようなコンテンツは選ばれなくなるでしょう。
一般的なQ&A
AIが情報を拾い、AI要約で情報が得られればユーザーは満足してしまうので、クリック数は大幅に減少します。
検索窓に直接「10ドルを日本円で」、「2+2」、「ニューヨーク 今何時」と入力すれば、その場で答えが表示されます。
基礎情報まとめ
AIは複数のサイトを読み込み、基礎情報をまとめています。
基礎情報はサイトにより大きな差が生まれないため、どれだけ書いてもコモディティ化されてしまい、優位性がありません。
「AIモードとは」といった定義や概要を知りたい時、「おすすめキャンプ用品」といった情報を比較したいときでも、AIモードが基礎情報サイトを読み込んで、要約して回答します。
誰でも書けるHow-to記事
一般的な定義や基本的な手順もAIに要約されてしまうため、サイトへの訪問者は減少します。
「DIYの手順」「献立のアイデア」など、具体的な手順や計画さえも、AIモードが回答してしまいます。
差別化ポイントが薄いコンテンツ
レシピサイトや生活情報メディアなど、差別化ポイントが薄いサイトは、ゼロクリック検索でユーザーが満足しがちです。
旅行ブログや食べ歩きブログにアクセスしていたユーザーも、検索結果にGoogleマップとリスト、口コミなどが表示されてしまえば、わざわざサイトにアクセスしないでしょう。
ゼロクリック検索に対応しないと、下記のようなデメリットがあります。
オーガニック流入の恒常的な減少
SEOで上位表示されていても訪問者が大幅に減るためSEO対策がムダになりかねません。
また、サイト流入の減少に直結して、資料請求、問い合わせ、商品購入などの機会も激減し、ビジネスに大きな影響を与えます。
ブランド認知度の低下
AI概要やスニペットで情報を得たユーザーは、その情報源となったウェブサイトのブランド名を認識しないまま離脱する傾向です。
ブランド名での検索が期待できなくなり、長期的なブランディングに不利になります。
広告収益の低下
広告を掲載している場合は、訪問者数が減ることで、ページに表示される広告のインプレッション(表示回数)が減少し、広告収益が低下します。
このことからわかるように、内容が薄い記事を量産する、不自然なほどキーワードを入れ込むといったSEO対策は、完全に通用しなくなります。
ゼロクリック時代でも読まれ続ける“強いサイト”の条件

ゼロクリック検索時代には、情報の網羅性ではなく、「そのサイトにしかない独自の視点、深い専門知識、一次情報、体験談」といった独自性が重要です。
独自性がなければ、AIに情報源として認識されることも、ユーザーにクリックしてもらうこともありません。
今すぐ、AIでは作れない一次情報を充実させましょう。
AIは、インターネット上に存在しない情報、特定の実証に基づいた生データを自ら生成することはできません。
たとえば、自社のデータ、商品・サービスの開発秘話、成功のコツや見落としがちなポイント、ビジネスで発生した課題と解決策のリアルなストーリーなどのコンテンツを充実させましょう。
人にしか書けないストーリー、失敗談、洞察は検索エンジンに高く評価されます。
特に、共感、感情、信頼といった要素は依然として人間にしか生み出せない領域です。
Googleはハルシネーション(誤った情報)生成リスクを抑えるために、経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)を示すE-E-A-Tを、コンテンツの「質」を判断する基準としています。
その中でも、実際に使用・体験した経験は、AIが生成できないため高く評価されます。
これからは、
・表面的な知識だけでなく、深い疑問や専門的な知識まで掘り下げていること
・独自のデータや分析、体験が含まれていること
・誰がどのような立場で書いたかを明確にすること
が、 “強いサイト”の条件と言えます。
ゼロクリック検索時代のSEO戦略:7つの実践ポイント

次に具体的なSEO戦略について考えてみましょう。
1. AIに引用されやすい構造の文章を作る
AIは、構造的で読み取りやすいデータセットを好みます。
AIによる概要生成の「情報源」として選ばれるために、文章構造を徹底的に最適化しましょう。
見出しにはタグをつけ、冒頭の記事で定義や結論を簡潔にまとめます。
具体的な手順やリスト化できる情報は箇条書きや番号付きリストで整理すると、AIがデータとして抽出しやすくなります。
2. 一次情報を中心にした記事づくりを強化する
AIは既存の情報の収集・分析は得意ですが、一次情報を生み出すことはできません。
自社が独自に行ったアンケート調査、自社製品の使用データ、顧客事例、専門家への直接インタビューなど、そのサイトでしか手に入らないユニークなデータは、AIが新たな知見としてそのコンテンツを参照せざるを得なくなるため、注目されます。
3. 読み手の“深掘りニーズ”に応えるコンテンツへ進化させる
ゼロクリック検索時代にサイトを訪問するユーザーは、より詳細な情報や深い理解を求めています。
ユーザーが望んでいる「なぜそうなるのか」「具体的な事例は?」といった、深堀りしたニーズを先回りしたコンテンツを提供します。
これはAI概要では解決できない内容のため、サイトに足を運ぶ価値になります。
4. 独自視点・体験・比較要素を盛り込む
差別化には、人間味と専門性を加えることが不可欠です。
執筆者自身の専門的な意見、長年の経験から導き出された考察、具体的な失敗談や成功体験談などは、他サイトには真似できないものです。
単なるスペック比較はAI要約に軍配があがるため、「私の経験上、この選び方がおすすめ」といった独自の情報を加えることが大切です。
5. 滞在価値を高める仕掛け(表・PDF・診断コンテンツ)を作る
サイト訪問者に読んでよかったと思ってもらうだけでなく、また来たい、このサイトは役に立ったという価値を提供することも大切です。
たとえば、記事の要点をまとめたダウンロード可能なPDFチェックリストを作る、複雑な情報をわかりやすく整理した表を掲載する、ユーザーの状況に合わせて最適なソリューションを提示する診断コンテンツなどがおすすめです。
6. CTA(問い合わせ導線)を最適化し、少ない流入でも成果を出す
訪問してくれた貴重なユーザーを確実にコンバージョン(成果)に結びつけるための施策も欠かせません。
記事の読了後など、関連性が高く目につきやすい場所に「無料相談」「資料請求」「購入ボタン」といったCTA(問い合わせ導線)を配置します。
問い合わせフォームを作成する場合は、入力項目を最小限にし、ユーザーがストレスなく行動を完了できる導線を整備し、コンバージョン率(CVR)の最大化を目指します。
7. 検索に依存しない集客チャネル(SNS・メール・コミュニティ)と連動
Google検索はユーザー数が多いため、対策は必須です。
しかし、依存しすぎると検索アルゴリズムの変動など、Googleの各種施策の影響を直接受けます。
リスク分散と安定的な集客基盤構築のために、SNS(X, Instagram, YouTubeなど)、メールマガジン、独自のオンラインコミュニティなど、ユーザーと直接繋がれるマルチチャネル戦略をたてましょう。
まとめ:検索が読まれない時代でも成果を出すために

ゼロクリック検索は、これからますます主流となっていくでしょう。
サイト訪問者数が減ったとしても、ゼロクリック検索の対策をしておけば、成果は維持できます。
むしろ、専門性の高いコンテンツ、自社でしか提供できないコンテンツや視点を充実させることで訪問者の満足度は向上し、少ない流入数でも、今以上に大きな結果を得られる可能性が高まります。
早速、AIに引用されやすいサイト構造への変更、CTA設計を始めましょう。
今こそSEO戦略の再構築が必要です。
スーパー秘書は、SEO対策の専門家ではありませんが、既存のサイトをAIに引用されやすい構造の文章に組み替える、 CTA(問い合わせ導線)の位置の変更、独自性の高いコンテンツの制作など、サポートできるスタッフがいます。
ゼロクリック検索対策をしたいけど、人手が足りない、時間がない、という方はお気軽にお問い合わせください。
