中小企業が採用コストをかけず良い人材を獲得する方法とは?

2024年4月8日

2018年9月28日

近年、中小企業の人手不足は顕著になっており、経営者にとって大きな悩みになっています。
内閣府発表のマンスリートピックス(2018年3月)の雇用人員判断DI(雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもの)を見ますと、人材不足感は、1991年前後のバブル景気並みの水準になっています。
また企業規模別に見ますと、常用労働者については1000人未満の企業の人材不足感が高くなっており、現代の中小企業の人手不足を物語っています。

採用にコストをかけられるのであれば、大手転職エージェントを活用するという方法もありますが、中小企業においては、そこまでコストもかけられないというのが現実でしょう。

そこで今回は、採用コストをかけずに良い人材を獲得する方法について、お伝えしていきます。

欲しい人材のターゲットを明確にする

人手不足が深刻化すると「うちに入社してくれるなら、誰でもいい!」という経営者も少なくありません。しかし、その気持ちをグッと抑えて、入社してほしい人材を絞り込むことが必要です

誰でもいいという求人票や求人広告を掲載しますと、数ある求人票や求人広告に埋もれ、選ばれない求人票や求人広告になってしまう恐れがあります。
また、気持ちの中では「誰でもいい!」と思っていても、場違いな履歴書、経歴書が送られてきますと、「やっぱり何かが違う・・・」と思ってしまうのが人間です。結果的に、採用に費やす時間というコストも無駄になってしまいます。

そういったリスクを軽減するために、欲しい人材のターゲットを絞り、求人票や求人広告を見た求職者に「これは私のための会社だ!」と思ってもらい、履歴書、経歴書が送られてきた時には、100%面接まで持っていくことがポイントになってきます。

ターゲットによって異なる求職者のニーズ

募集するターゲット層によって、求職者の求めるニーズも変わってきます。そして企業側はそのニーズに合わせた社内体制を整備することも大切になってきます。

例えば、学生や20代という若い世代は、給与よりも休日を重視する傾向があり、ゆえに完全週休2日制は必須とも言えるでしょう。
また自己成長を求める傾向もあり、研修制度や教育体制も重視してきます。さらには「ブラック企業」という言葉の影響もあり、残業時間や働きやすい社風を重視する求職者も多いでしょう。若い世代をターゲットにするなら、これらの社内体制を整備する必要があります。
ただし若い世代、特に新卒学生は企業の知名度や規模で選ぶ傾向もあるので、あえて新卒学生をターゲットにしない決断も必要になってきます。

30~40代の転職世代になりますと、給与や仕事のやりがいなどを重視する傾向があります。かつては「転職35歳限界説」という言葉もありましたが、人手不足が顕著になり、もはや過去の言葉になりつつあります。中小企業では高い給与は難しいかもしれませんが、企業の知名度や規模で選ぶ比率も下がってきますので、仕事のやりがいをアピールできれば、働き盛りの人材を獲得するチャンスにもなります。

子育て世代を狙うなら、育児休暇などの制度導入や子育てへの理解のある社風などがポイントになってきます。特に女性は、子供が生まれるとほぼ同時に退職し、在職中に蓄積した経験やスキルの持ち腐れになっているケースがあります。ゆえに、子育てに優しい制度や社風を整備する良いでしょう。近年は「働き方改革」により、これらの後押しをする国の支援施策も出ていますので、活用してみてください。

これら整備した社内体制を求人票や求人広告に掲載することにより、求職者へのPRをしていきます。

採用ホームページをつくる

採用ホームページは、ほとんどの大手企業では開設しており、例えば、警備、運輸、福祉など人手不足が顕著な業界では中堅企業でも開設していることも多くなっています。
ゆえに中小企業・小規模企業でも採用ホームページを開設すべき、と言いたいところですが、ここで中小企業経営者の悩みがやはりコストの問題。ある程度しっかりした採用ホームページをホームページデザイナーに作ってもらいますと、安くても20万円、しっかりしたものを作ると50~60万円してしまいます。販売用のホームページであれば、お客様はくれば来るほど良いでこれらのコストも高くはないのですが、中小企業の場合、欲しい人材が1人というケースも少なくなく、「この1人のためにこれだけのコストをかけようすると・・・」と、やはり考えてしまう金額です。ゆえに無料のホームページ制作サイトを活用すると良いでしょう。

ホームページ制作では無料制作ツール「WordPress」が有名ですが、自力で制作するにはホームページ言語のスキルが必要になり、ITが苦手な方にはやや敷居が高いです。ゆえに私のおすすめは「Wix」「Jimdo」「ペライチ」です。

「Wix」はデザインの自由度が高く、パワーポイント感覚でホームページが制作できます。

「Jimdo」は決められた枠に、テキストや画像を入れていくスタイルですので、カッチリとしたホームページが作りやすいです。

「ペライチ」はいわゆるランディングページ(他サイトへのリンクがない縦長のホームページ)を作るサイトです。

採用ホームページは、販売ホームページほどのデザイン性は必要としないと思いますので、メニューのある採用ホームページなら「Jimdo」、ランディングページなら「ペライチ」を使ってみると良いでしょう。
また、上記の無料のホームページ制作ツールを活用してのホームページ制作は、スーパー秘書™のようなオンライン業務アウトソーシングサービスに依頼することをおすすめします。作業をアウトソーシングすることで、経営者自身がすべき採用方針や評価方法などを立案する時間を捻出することができるからです。

おわりに

現在は、ハローワークに求人票を出して待っているだけでは、人は来てくれない時代です。欲しい人材を明確にし、それに合わせた社内体制を整備し、インターネットなどを活用してしっかりそれらをPRしていくことがポイントになります。
また、採用に関わる作業をすべて一人で行うのではなく、代行業者や優良サービスをうまく活用していくことも意識すると良いでしょう


この記事の執筆者


合同会社ファインスコープ 代表社員
中小企業診断士
西條 由貴男

食品機械メーカー、研修会社を経て、2011年に独立開業。
現在は、東京や岡山の公的支援機関にて、中小企業・小規模企業の経営サポートを行う。著書は「起業のツボとコツがゼッタイにわかる本(秀和システム)、「中小企業診断士のお仕事を正体がよ~くわかる本(秀和システム)」など全6冊出版。