
最近では当たり前のように使われるようになった「保活」という言葉。
ご存知の通り、「婚活」や「就活」と同じく、「子供を保育園に入れるために保護者が行う活動」のことです。
そもそも「保活」をしなくては子供を保育園に入れることが困難な日本の現状が、出生率の低下、ひいては世界120位という低いジェンダーギャップ指数にもつながっていることは間違いないでしょう。
とはいえ、厚生労働省もただ手をこまねいているわけではありません。
2020年12月には「新子育て安心プラン」を発表し、待機児童の解消や女性の就業率の上昇に向けた施策を打ち出しています。
保活をする保護者の中でも特にフリーランスや在宅ワーカーは保育園に入れにくいと言われていますが、「新子育て安心プラン」によって解決されるのか?保活の現状や問題点、情報収集のポイントなども合わせてご紹介します。
「新子育て安心プラン」とは?

厚生労働省が発表した「新子育て安心プラン」とは、2021年から2024年までの4年間で、約14万人分の保育の受け皿を整備するために、保育園の増設、保育士の増員、地域の子育て資源の活用などを行う計画のことです。
それにより、施策を行う前の2012年に比べると、2020年度の待機児童数は12,439人で約半分、保育施設数は37,652で約1.58倍になるなど、数値は確実に改善しています。
皆さんも、最近保育園が増えてきているな、と感じることがあるのではないでしょうか。
とはいえ、2020年4月時点で1万人以上の待機児童が存在しており、保育園に入れることができずに育休を延長している隠れ待機児童も含めると、多くの方が保育園に子供を入れることができずに困っているのが現状です。
保活経験者の本音は「○○に苦労した」

厚生労働省が2016年に行った保活の実態に関する調査によると、34.9%の人が出産前から保活を始めており、なんと4.1%の人が妊娠前から保活を行っていたと答えるなど、保活の早期化が進んでいます。
さらに「保活で苦労したこと、負担だったこと」について、40%の人が「情報収集」と答えています。
自治体から発信される情報だけではなかなか保活の現状を把握することが難しく、保活経験者や地元のママ友・パパ友からの情報が有益であるものの、そのための活動が負担だった、というのです。
厚生労働省もこのようなデータを収集していることから、情報の一本化など、情報発信に関する対策は打っていくことが予想されますが、一朝一夕で変わるとは考えにくい、というのが正直なところ。
現状できる有効な対策の一つとして、リアルな情報を持っていることが多い地元の保活経験者とつながることです。
自治体で行われている母親学級や子育てひろばなど、保護者同士の交流の場に積極的に参加するなど横のつながりを持つことで、保活に関する悩みを共有できます。
特に産後の女性は「産後うつ」など、精神的に不安定になりやすいと言われています。
情報収集のためだけでなく息抜きのためにも、リアルなママ友・パパ友作りを意識的に行うことをお勧めします。
フリーランスや在宅ワーカーが子供を保育園に入れるのが難しいって本当?

フリーランスや在宅ワーカーが保育園に入れるのが難しいと言われる大きな原因は、就業場所が自宅であることで「保育の必要性が低い」とみなされ、保育園に入所するための選考ポイントが低くなってしまう場合があるからです。
2017年には厚生労働省と内閣府から各自治体に対して「居宅内就労に対して一律に点数を低くしないこと」などを含む通達が行われたため、改善された自治体もありますが、まだまだ地域差があるのが現状です。
また、自治体によっては夫婦2人ともフリーランスの場合、「育児の協力者がいる」とみなされ、ポイントが減点されて不利になってしまう、ということも。
これら保育園選考ポイントのルールは自治体によって異なるため、まずは自治体のHPなどから関連する資料を入手することが大切です。
残念ながら、お住まいの自治体が自宅内就業でもポイントが減点されないルールだとしても、それは「有利」なことではなく、あくまでもみんなと同じスタート地点に立てる、ということ。
多くの保活者は、選考ポイントを稼ぐため、早めに認可外保育園やベビーシッターに預けるなどの対策を行なっています。
また、開業届や就労証明書など、必要な書類を漏れなく用意することも重要です。
こういった対策に関する細かな情報も、前述した「横のつながり」から得られることが多いでしょう。
もし保活に失敗したら?

民間のベビーシッターサービスやファミリーサポートなどを利用するのも一つです。
さらに、保育園の二次募集がかかる場合もあります。
認可外や認証保育園の場合、園長に事情を説明し優先的に枠にいれてくれた、なんてこともあったりなかったり…。
また、働き方を見直す重要な時期だと考え方をシフトすることも大切です。
自宅でもできる業務であれば、会社に相談すると上司も検討してくれるかもしれません。
ダメ元でも最後まであきらめずベストを尽くしましょう!
また、長期的な対策にはなりますが、選挙で子育て世代の女性議員や、子育てに関する前向きな公約を掲げている候補者を積極的に支援するなど、自分たちの声が政治に反映されるように働きかける、ということも重要です。
産前産後の大変な時期に、これほど大変な保活をしないと保育園に入れられない現状を子供達の代に残さないためにも、しっかり声を挙げつつ、今の条件でできることを一つ一つ潰しながら、一緒に乗り越えていきましょう。
【参考】
・厚生労働省「新子育て安心プランの概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000717624.pdf
・厚生労働省「『保活』の実態に関する調査の結果」